ビジネスシーンにおいて、電話応対は企業の第一印象を左右する非常に重要な要素です。

日々の生活で何気なく使っている「もしもし」という言葉ですが、実はビジネスの場では不適切とされていることをご存知でしょうか。

電話の第一声でその人のビジネスマナーが判断され、ひいては会社全体の信頼性にまで影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、なぜビジネスで「もしもし」がNGなのかという理由から、信頼を勝ち取るための正しい受け答えやシチュエーション別のフレーズまで詳しく解説します。

ビジネス電話で「もしもし」がマナー違反とされる理由

プライベートの電話では当たり前のように使われる「もしもし」ですが、ビジネスの場では避けるべき表現とされています。

その理由は、言葉の成り立ちやマナーとしての「略語」の扱いにあります。

「もしもし」は略語であり、相手への敬意に欠ける

「もしもし」という言葉は、もともと「申し上げる、申し上げる」という言葉を略した「申し、申し」から来ています。

明治時代に電話が登場した際、電話の状態を確認するために「これから申し上げます」という意味で使われ始めたのがきっかけです。

ビジネスマナーにおいて、言葉を省略して伝えることは相手に対して失礼にあたるという考え方が基本です。

「もしもし」は目上の人や顧客に対して使うにはあまりにカジュアルすぎる表現であり、プロフェッショナルな姿勢を示す場には適しません。

相手を軽んじている印象を与えてしまう

電話の第一声で「もしもし」と言ってしまうと、相手は「友達や家族と話しているわけではないのに」と違和感を覚えることがあります。

特に年配の方や礼儀を重んじる取引先の場合、「マナーを知らない担当者だ」というレッテルを貼られてしまうリスクがあります。

ビジネスの電話は、お互いの貴重な時間を割いて行われる「公式な対話」であることを忘れてはなりません。

相手に敬意を払い、丁寧な言葉選びをすることがビジネスコミュニケーションの第一歩です。

電話を受けた時の正しい第一声と基本マナー

「もしもし」を使わずに、どのように電話を受ければ良いのか、具体的な基本ルールを確認しましょう。

電話が鳴ってから受話器を取るまでの動作や、名乗りの順序には定石があります。

電話は3コール以内に取るのが鉄則

ビジネスの世界では、電話は「3コール以内」に取ることが標準的なマナーとされています。

3コール以上待たせてしまった場合は、「大変お待たせいたしました」という一言を添えるのが礼儀です。

相手を待たせる時間は、相手の時間を奪っていることと同じであるという意識を持ちましょう。

迅速な対応は、それだけで「この会社は対応が早い」というポジティブな印象に繋がります。

会社名と自分の名前をはっきりと名乗る

受話器を取ったら、まずは「はい、〇〇株式会社でございます」と会社名を名乗りましょう。

相手が誰にかけてきたのかを確認できるよう、明瞭かつ明るいトーンで発声することが大切です。

部署名や自分の名前まで名乗ることで、相手は安心して本題に入ることができます。

自分の名前を名乗る際は、「担当の〇〇です」と続けると、責任を持って対応している姿勢が伝わります。

「お世話になっております」をセットで使う

相手が名乗った後は、たとえ初めて話す相手であっても「お世話になっております」と返すのが一般的です。

これはビジネス上の慣用句であり、「これからの関係性を含めてよろしくお願いいたします」という意味合いも含まれています。

この一言があるだけで、会話の雰囲気が格段に柔らかくなり、スムーズなコミュニケーションが可能になります。

シチュエーション別:信頼を高める電話応対フレーズ集

電話応対では、予期せぬ事態や確認事項が発生することが多々あります。

そんな時に慌てず、スマートに対応するための定型フレーズを覚えておきましょう。

相手の声が聞き取りにくい場合

電波の状態が悪かったり、相手の声が小さかったりする場合に「もしもし?」と言いたくなるかもしれませんが、ここでも我慢が必要です。

「恐れ入りますが、少々お電話が遠いようです」という表現を使いましょう。

「聞こえません」と直接的に伝えてしまうと、相手の話し方に非があるように聞こえてしまうため、「お電話が遠い」という婉曲的な表現を用いるのがプロの配慮です。

それでも改善しない場合は、「一度お切りして、こちらからおかけ直しいたしましょうか」と提案するのも一つの手です。

担当者が不在の場合

指名された担当者が席を外している場合、ただ「いません」と答えるのは不親切です。

「あいにく〇〇は外出しておりまして、〇時頃に戻る予定でございます」と具体的な状況を伝えます。

その上で、「よろしければ、私がご用件を承りましょうか?」と一歩踏み込んだ提案をすることで、相手の二度手間を防ぐことができます。

戻り時間が不明な場合は、「戻り次第、こちらからお電話を差し上げるようにいたしましょうか?」と確認しましょう。

取り次ぎのために保留にする場合

電話を他の担当者へ回す際は、必ず保留ボタンを使用してください。

受話器を置いただけで保留にしたつもりになると、こちらの話し声が相手に筒抜けになってしまう恐れがあります。

「確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか」と断りを入れてから保留を押しましょう。

待たせる時間は長くても30秒程度にとどめ、それ以上かかる場合は一度保留を解除して進捗を伝えるのが親切です。

電話応対でのNG例とOK例の比較表

間違いやすい表現を整理するために、一般的なNG例と推奨されるOK例を比較表にまとめました。

シーンNG表現OK表現
電話に出る時もしもし、〇〇商事です。お電話ありがとうございます。〇〇商事でございます。
相手が名乗った時ああ、どうも。いつもお世話になっております。
聞き取れない時えっ?もしもし?聞こえません。恐れ入りますが、少々お電話が遠いようです。
中座する時ちょっと待ってください。確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか。
電話を切る時さようなら。/ はい。失礼いたします。(相手が切るのを待つ)

非言語情報(声のトーン)も重要なマナー

電話応対は視覚情報がないため、声の質や話し方が相手に与える印象のすべてを決定します。

正しい言葉遣いだけでなく、どのように伝えるかという「表現力」も磨く必要があります。

「笑声(えごえ)」を意識する

電話越しでも相手の表情は伝わると言われています。

鏡を目の前に置いているかのように、口角を上げて笑顔で話す「笑声」を心がけましょう。

笑顔で話すと自然と声のトーンが明るくなり、相手に「歓迎されている」という安心感を与えます。

逆に、無表情で話すと声が低くなり、冷淡な印象を与えてしまうため注意が必要です。

普段より少し高めのトーンで話す

電話の音声は、実際よりも少し低く、こもって聞こえる傾向があります。

そのため、普段話している声よりも「ワントーン高め」を意識して話すのがコツです。

いわゆる「ド・レ・ミ・ファ・ソ」の「ソ」の音をイメージすると、聞き取りやすく心地よい響きになります。

特に第一声は、そのトーンによって会話全体の温度感が決まるため、意識的に明るい声を出すようにしましょう。

スマートフォンの仕事利用が増える2026年現在の注意点

働き方の多様化が進み、固定電話ではなくスマートフォンやチャットツールの音声通話でやり取りすることも増えています。

こうしたデバイスの変化に伴い、電話応対のマナーにも新たな視点が求められます。

社用携帯でも第一声は「会社名」から

社用携帯に直接かかってくる電話は、相手が誰か分かっている場合が多いですが、それでも油断は禁物です。

「はい、〇〇(個人名)です」といきなり名乗るのではなく、「お疲れ様です、〇〇株式会社の〇〇です」とビジネスの顔を見せましょう。

デバイスが個人向けであっても、会話の内容がビジネスである以上、組織としての対応が求められます。

周囲の環境への配慮

リモートワークや外出先で電話を受ける際は、周囲の騒音に十分注意を払わなければなりません。

カフェの雑音や駅のホームの音などは、マイクを通して予想以上に大きく相手に届いてしまいます。

重要、かつ機密性の高い内容であれば、「ただいま外出中ですので、5分後に静かな場所からおかけ直ししてもよろしいでしょうか」と伝え、環境を整えるのがマナーです。

相手に不快感を与えないだけでなく、情報の漏洩を防ぐというリスク管理の観点からも重要です。

まとめ

ビジネスシーンにおける電話応対は、単なる情報の伝達手段ではなく、信頼を築くための重要な儀式です。

無意識に出てしまう「もしもし」という言葉を卒業し、プロフェッショナルとしての自覚を持った第一声を発しましょう。

「お電話ありがとうございます」という感謝の気持ちと、丁寧な言葉選びを積み重ねることで、あなたの、そして会社の評価は確実に高まっていきます。

今回ご紹介したフレーズやマナーを、ぜひ今日からの電話応対に役立ててみてください。